一週間ほど前の新聞に『「親族外承継」広がる』という見出しの記事があった。事業承継をスムーズに行えるよう中小企業経営承継円滑化法が成立したにもかかわらず。
様々な理由があるだろうが、基本的には親族に継がせたくない、親族が継ぎたくない、継がせる親族がいないというものに集約される。もちろん大切なことは「継がせたくない」、「継ぎたくない」の理由である。親族にこんなにしんどいことをさせたくないと思っているのか、あんなにしんどそうなことはしたくないと思っているのか。
それにしても大企業でも将来どうなるか分からないし、親方日の丸も今や・・・。中小企業も悪くないと思うがなぁ。
親族に頼るくらいなら社内から後継者をという考え方には大いに賛成だが、後継者が決まらず廃業するところもあるというのは大問題である。
重責を親族外に委ねるのは申し訳ないという思いもあるはずなのに、それでも親族外承継が広がるのはやはり長引く景気の低迷に加え原材料費の高騰があるのだろう。原材料のインフレ・製品のデフレ傾向は製造業には大打撃である。政治に頼るつもりはないが、大胆な政策転換や政権交代がないとあらゆる面で日本は空洞化していくのではないだろうか。
経営者が堂々と事業を承継させたいと思え、親族であろうがなかろうが承継したいと思える会社にしなければならないことは間違いないだろう。誰にとっても魅力のある会社にしなければならないと強く思う。
確かに経営者には大変大きな責任と重圧があるのは間違いないが、その分やりがいや達成感が大きいのも事実。中小企業の社長ってのも悪くないと思うがなぁ。
先日別の新聞にあるトラック運転手に関する記事があった。見出しに「命削る運転手」という過激な文字があったが、その通り過酷な労働環境について書かれたものであった。その中でもその運転手の言葉が重い。
「(労働基準に関する)違反なしじゃ、食っていかれん。」
もちろん肯定できるものではないが、現実の厳しさを物語っている。
子どもの将来についての言葉がさらに重い。
「好きな仕事をやればいい。でもトラック乗りだけはダメだ。」
子どもに対して自分の仕事だけを否定しなければならないことは、あまりにも辛い現実だ。