少し前のことになるが実家でこの弁当箱をもらってきた。
アルマイトっていう素材なんだろうか、冬場は幼稚園のストーブの上で温めてもらっていたことを思い出す。
初恋のけいこちゃんのことや粘土で上手に乗り物を作っていたひろやす君のことも思い出す。
一緒に小学校に進んだのに一家心中でいなくなってしまったやすひろ君、僕が虫に詳しいことを自分のことのように小学校の先生に自慢してくれてたね。
急に寒くなって何故か会社に持ってきているこの弁当箱を手にとってみた。
胸なんだか目頭なんだか鼻の奥なんだかどこだかはっきりしないが、確かにどこかが熱くなった。
おさがりを嫌った私をおふくろはうまくゴマかしたんだな。
「し」に2画足して「け」にしてやがる。